遠藤拓人展「毎日はすこしだけかなしい」

2019年3月25日(月)〜3月30日(土)

遠藤さんとの出会いは2004年に開催した装画コンペvol.4でのMAYA賞受賞がきっかけでした。
新聞や文芸誌の挿絵や書籍装画などイラストレーションだけでなく、写真やデザイン…と活動の幅を拡げて大活躍中です!

portrait_edit

この数年、時代物で印象的なお仕事が続いている遠藤さん。
今回の個展では、現代を舞台に思春期の少年の心の揺らぎや寂寥感ある景色が描かれ、更に以前から記録されている夢漫画の一部や日々を綴った散文(以下、太字の部分)…と多彩な作品をご覧いただきました。

「下校」©Takuto Endo

「下校」©Takuto Endo

○月○日
日々のことを書きとめることにした。
いずれ誰かが読むのかもしれないし、そうではないかもしれないけれど。

「チョークの粉」©Takuto Endo

「チョークの粉」©Takuto Endo

○月○日
夏。暑くてソファにうなだれる。
葉の隙間から漏れた光が、霞ガラスにゆらゆら揺れていて、それを小一時間眺めて過ごす。
遠くで鳴った電話の音。時折する子供の声。自分とは無関係のむこう側の世界。

「落下する月」©Takuto Endo

「落下する月」©Takuto Endo

○月○日
世界に自分が生まれたのか、自分が生まれた瞬間に世界ができたのか、
そのことを小さい頃からよく考えていた。
自分が消える時に世界も消えるのか、それとも自分の残滓のようなものが世界に遺るのか。
それを以前誰かに言った時に「それは酷いエゴイズムだから人に言わない方がいい」と言われた。
少なくてもエゴイズムではないと思うが「ああ理解されないんだなあ」と思って、
それ以来あまり人に言っていない。

「百合」©Takuto Endo

「百合」©Takuto Endo

黒と白のコントラストが、静かに、ドラマティックに胸に迫る「すこしだけさみしい」作品。
季節が冬から春へと
移り変わり、明るさを増してゆく陽射しに物悲しさを感じてしまう人々から深い共感を得た展覧会でした。

遠藤拓人artistページ

カテゴリー: 2019アーカイブ, MAYA   タグ: ,   この投稿のパーマリンク