空音に辺りをうかがい、空言に片方の口角があがる。
指先をかすめる現実は冷たくて暖かい。
空気の隙間から垣間見える本当と嘘。
賑やかな街を歩いてみる。
軽やかに見えますようにと、頭の片隅で思いながら。
どこに向かっているのだろうと思いながら。
十字路に立ち止まり、ふと空を見る。
重力があるから、鳥の羽は浮力を得て空を舞う。
重力があるから、海は地球に留まり命を生む。
四方八方に散らばる思考に囚われ、気づくと知らない路地を歩いていた。
後ろを振り返り、歩いてきた軌跡はちゃんと残っているのだろうかと疑問に思う。