小林万希子展「行雲流水」

2017年6月26日(木)〜7月1日(土)

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第27回山本周五郎賞と第151回直木三十五賞の候補となり注目された「ミッドナイト・バス」(伊吹有喜 著)や新聞連載小説「めだか、太平洋を往け」(重松清/地方紙15紙)など、心に残る装画や挿絵を手がける小林さんの3年ぶりの個展です。
最近のお仕事では時代小説を描く機会が増えてきたそうで、今回が初めての時代物の展覧会となりました。

『猫鳴小路のおそろし屋』(風野真知雄/KADOKAWA) © Makiko Kobayashi

『猫鳴小路のおそろし屋』(風野真知雄/KADOKAWA)
© Makiko Kobayashi

“前回の個展の頃、時代小説の仕事の経験はまだ片手で数えられるくらいでしたので、3年後にこのような展示をすることになるとは想像もしていませんでした。自分で眺めてみても何と無く不思議な光景です。”
(挨拶文より)

『居酒屋お夏/縁むすび』(岡本さとる/幻冬舎) © Makiko Kobayashi

『居酒屋お夏/縁むすび』(岡本さとる/幻冬舎)
© Makiko Kobayashi

まだ時代物を描いていなかったときにブックデザイナーの鈴木久美さんから(『晦日の月』中島要 著/光文社)の装画の依頼を受けたのがはじまり。そのときのことを「新しい仕事への扉が開けたように感じた」と振り返られます。

『西郷どん!』(林真理子/本の旅人)© Makiko Kobayashi

『西郷どん!』(林真理子/本の旅人)© Makiko Kobayashi

連載中の『西郷どん(せごどん)!』は、2018年のNHK大河ドラマの原作とのこと。
明治維新の立役者・西郷隆盛が勇気と実行力で時代を切り開いた「 愛に溢れたリーダー」として描かれています。

『蝶のゆくへ』(葉室麟/小説すばる© Makiko Kobayashi)

『蝶のゆくへ』(葉室麟/小説すばる© Makiko Kobayashi)

画材はオイルパステル小林さんの作品の特徴である白い輪郭線は、マスキングではなく擦筆を利用して丁寧に紙の地色を塗り残されたものです。

『銀の猫』(朝井まかて/オール讀物) © Makiko Kobayashi

『銀の猫』(朝井まかて/オール讀物)
© Makiko Kobayashi

タイトルの『行雲流水』とは、空の雲や流れる水のように深く物事に執着せずに自然の成り行きに任せて行動すること。また、一定の形をもたず自然に移り変わってよどみがないことを意味する禅語。
その言葉のように、これから先も「ジャンルや画法に執着することなく、めぐり会えた物語や画題と丁寧に向き合いながら、心を尽くして大切に描いていきたい」とのことでした。

小林万希子artistページ

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