2017年10月23日(月)〜10月28日(土)
2年ぶりの石川えりこさんの個展です。
夏のある日、展示の打ち合わせにいらした えりこさんから見せていただいたのは、
これまでとはまったく違う表情を持った作品でした。
描かれていたのは、濃淡のある鉛筆で塗り込まれた四角がキルトのように繋がり連なった作品。
絵を描くことに疲れたら ひとまずアタマと手を休めます。
アタマを休ませても 手はまだまだ休んでくれません。
そんな時は 何にも考えないで 手だけを動かします。
「考えること」や「工夫」を打ち消しながら
ただただ鉛筆で塗りつぶしてアタマを休めます。
塗りつぶした形に中に 休んでいない自分がいるのは かくせません。
無心になっているはずなのに
「こんな絵を描きたい」「こんな話を書いてみたい」
とアタマの中の私が起きてきます。
「せっかくの個展なのだから、自分が面白いと思うことをやりたい」とおっしゃっていた えりこさん。
マス目を鉛筆でひたすら塗りつぶしてゆくことで生まれたビジュアルからは、
穏やかな静けさと、絵や絵本に向かう えりこさんの強い意思を持った眼差しが感じられました。
正面には、これまでの絵本の登場人物や子どもたちの顔、動物など。
こちらも『マス目』を意識したレイアウト。
MAYA2では、今年出版された絵本『流木のいえ』の原画を展示。
流木と絵かきが織りなす月夜のファンタジー
海のそばにくらす絵かきは、海岸に流れついた流木をたいせつにかかえて、いえへかえります。
そして、流木たちと心を交わし、色をぬってやると、流木たちはかつての姿を取り戻すのです。
それは、青い馬、オオカミ、トナカイ、じゃんけんするこどもたち――。
流木たちはそれぞれの生い立ち、冒険、そして思い出を絵かきに語りはじめます。
そして、ある満月の夜、流木たちは・・・・・・。(内容紹介より)
期間中の金曜の午後には、K&Yクールズ(プロアナウンサー寺澤京子さんと堀内由香さんによる朗読ユニット)に、えりこさんも特別参加されての大人の絵本ライブを開催。
『流木のいえ』のほか、講談社出版文化賞絵本賞『ボタ山であそんだころ』などが朗読され、14時と16時の2回とも座席が足りず立ち見でご覧頂いた方も多いほどの大盛況でした。
地方での展覧会や講演も多く大活躍のえりこさんの頭の中には、いつもたくさんの素敵なアイデアが詰まっているよう。
今後も時には思いがけない形で えりこさんの世界を見せていただけるのでは…と楽しみな予感のある一週間でした。