装画を描くコンペティションvol.13受賞者展

2014年2月10日(月)〜2月15日(土)
compe13

今年の受賞者展は、搬入日と会期後半と二週続けて何十年振りかという大雪に見舞われ
ました。そんな足下の悪い中もコンペにご参加くださった方、これまでの受賞者や審査員、
出版関係者など、たくさんのお客さまにお出かけいただき、雪に閉ざされたような空間で
充実した濃密なやりとりがたくさんあったようです。
受賞者の6人にとっては、かえって忘れがたい一週間になったのでは…と思います。

撮影:Chie Tabata

撮影:Chie Tabata

MAYAではグランプリ受賞の岡崎勝男さんの個展を。

『草枕』© Katsuo Okazaki

『草枕』© Katsuo Okazaki

『風格がありながら軽妙で斬新。そんな装幀を実現させてくれる装画』
(審査員・新潮社/飯田紀子さん評)。
受賞作『三四郎』に因んで、『坊ちゃん』『夢十夜』『それから』『こころ』など
岡崎さんが大好きだという夏目漱石の小説が情緒豊かに描かれました。
職人的にさまざまな技法を駆使した美しい原画で、これまでいろいろな作家によって
幾度も描かれ続けてきた漱石の風景を、また新鮮な視点でご覧いただけたと思います。
https://www.gallery-h-maya.com/artists/okazakikatsuo/

そしてMAYA2では他の受賞者による5人展を開催。

satoako


こちらは準グランプリのサトウあこさんです!

『美をとりこむ』© Ako Sato

『美をとりこむ』© Ako Sato

『見ている方に物語を想像させる広がりと奥行きをもっている。世界観を押し付けている
ようで押し付けていない、その絶妙な距離感と案配が心地よい』(審査員・國枝達也さん評)。
印画紙に描いたり、ニードルで削ったり、剥がしたり…画面上の光沢とマットのバランスが
魅力的なあこさんの作品。クールでちょっと妖しくて、女性らしい感性が溢れる世界です。
https://www.gallery-h-maya.com/artists/satoako/

hayakawayoshio

早川世詩男さんは新潮社装幀室の飯田紀子さんの個人賞。

『ホログラムメモリーズ』©Yoshio Hayakawa

©Yoshio Hayakawa

『脱力加減が絶妙で、かわいい。思わずニヤリ、クスリとしてしまう。人を愉快な気持ちに
させるのは、イラストレーションの素敵な力の一つです』と飯田さんがおっしゃるように、
今回もSFがテーマでありながらちょっとレトロな味のある作品が、ゆる〜りと並びました。
画材はアクリルガッシュやインクなど。
https://www.gallery-h-maya.com/artists/hayakawayoshio/

hayakawayasuko

ブックデザイナーの國枝達也さんの個人賞は早川靖子さん

『ブレーメンの音楽隊』© Yasuko Hayakawa

『ブレーメンの音楽隊』© Yasuko Hayakawa

『大胆なタッチの中にも繊細さが宿る。表情の中になんとも不思議なイメージの余白があり、背景の力強いテクスチャと相まって、見てる方を物語の想像へと誘う。最後まで目を逸らす
ことが出来なかった』と國枝さんがおっしゃるように、受賞作『嵐が丘』のキャサリンは
ドラマティックな魅力がありました。展示したのはモノクローム5点でしたが、早川さんは
お仕事ではカラー作品も、そして刺繍や木目込みなども手がけられています。
https://www.gallery-h-maya.com/artists/hayakawayasuko/

sakuramochi


インパクトあるお名前の桜餅シナモンさんはブックデザイナー名久井直子さんの賞を受賞!

『安らぎ』© Cinnamon Sakuramochi

『安らぎ』© Cinnamon Sakuramochi

名久井さんの選考基準は「物語への期待感が強い作品、物語の咀嚼 の仕方が面白い作品」、
それと「一枚の作品として好きなものというよりは、文字を入れて、タイトルと合わさった
ときに面白いだろうな、と文字を入れたくてうずうずしたもの」とのこと。
フィルムノワールやノスタルジックなアメリカが好きな桜餅さんとフィッツジェラルドは
とっても相性がよかったのでした。
https://www.gallery-h-maya.com/artists/sakuramochicinnamon/

mizusawasora

そしてMAYA賞はこちら、水沢そらさんです。

『葬列』© Sora Mizusawa

『葬列』© Sora Mizusawa

飯田さんが『画風が独特で、圧倒的なうまさがある。一目で虜になりました』と
おっしゃるように、審査の際もたくさんの作品の中で強い存在感を放っていらした
そらさんの作品。展示した『おはなしして子ちゃん』(装幀は審査員の名久井直子さん)と
『ブラックライダー』(新潮社、装幀は次回コンペ審査員の二宮大輔さん)は受賞直後の
お仕事でした。
https://www.gallery-h-maya.com/artists/mizusawasora/

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