1月17日(月)〜1月29日(土)
谷口広樹個展「homosapiensaru」

またご縁があってギャラリー・ハウスMAYAさんで個展をさせていただくことになった。
前回「芒格札(まんぐざ)の庭」というタイトルの展覧会を催したのはもう21年前のことになる。32歳の時だ。
自分の心の奥底に猿のようなやつが棲み始めたのは大学生の時からだ。初めは形状 などの面白さとともに興味を覚え、homosapiensと呼んで可愛がっていたが、時間が経つに連れ、そいつは居候の立場を越えて傍若無人にもスペース だけでなく、家主の思考にまで邪魔をするようになっていった。その内、造り出そうとするものすべての善し悪しをそいつがジャッジし始めた。いかがなものか と驚き、訝しんだが、気がついたときには、人間の目線ではなく猿の目線で思考して行くことの面白さにすっかり洗脳されていた。私はそうしていつのまにか猿 になってしまった。
21年前の当時、猿になってから10年ほども経ってくるとそのことが日常になり過ぎ てしまったように思えて、更に素敵な猿になるようにパワーアップを望んだところ、 お釈迦様が輪廻転生を繰り返す中で、金の猿に生まれ変わったことがあると知った。
これだ!この猿だ!とピンと来た。そんな霊格の高い猿を自分に乗り移させようと考えた(その黄金の猿のことをチベットでは「まんぐざ」と呼び、中国では 「芒格札」という字が当てられた)。そこで猿そのものよりは高貴な猿が降りてくるような庭を描くことに終始した。その時は、降りてきた高貴な猿の魂をかす め取って自分のものとしようとしたのだ(笑)。
しばらくの間、自分が猿になっていたことが朧げになっていたが、昨年辺りからま た猿のことが頭をもたげてきた。猿そのものにも興味が再び湧いてきており、今で はhomosapiensaruと呼んで再び猿であることを愛でている。そこで今回は、心の内にあるhomosapiensaruの家を訪ねる旅をするこ とにし、その記録を披露しようと考えている。
谷口広樹/画家・イラストレーター・グラフィックデザイナー

1957年神奈川県生まれ。
1983年東京藝術大学大学院美術研究科修了。
日本橋高島屋宣伝部(現在ATA)を経て、1985年bise inc.を設立し
現在に至る。

ポスターやカレンダー、DM、文藝関係のブックデザイン、店舗の壁画やグラフィックなど多数手掛ける。
代表的な仕事に長野オリンピックの開・閉会式のプログラムがある。

絵画思考を中心に据えて、グラフィックデザイン、イラストレーションの他、
ジャンル、カテゴリーにこだわらずに独自の世界観を展開。
イベント、グループ展多数参加。
1988年「猿の記憶」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)や1998年「芒格札(まんぐざ)の庭」(パルコギャラリー/クリエイションギャラリー G8)などデザイン系のギャラリーはもちろんのこと、2002年よりシロタ画廊など絵画系のギャラリーにおいても個展活動開始。

現在、東京工芸大学教授。

http://www.homosapiensaru.com/

カテゴリー: 1月, 2011年, MAYA, スケジュール   タグ: ,   この投稿のパーマリンク