久保田さんの個展はなんと11年半ぶり！本の装画や新聞の挿絵など、さまざまなお仕事をご覧になっていた多くの方が、久々に原画を見る機会…とお出かけくださいました。

テーマは、日常生活の中で見過ごしてしまいそうな「ちょっとしたしあわせ」。ずっと以前の展示では、落ち着いた大人の男性や、喜怒哀楽を感じさせない表情など「静」的なイメージが強かったのですが、今回は一転。躍動感溢れる構図や、子どもから大人までの人物の豊かな表情と共に、幸福を感じるさまざまなシチュエーションが描かれました。

画材はソフトパステル。鮮やかな色彩の粒子から生まれる、豊かで上品な深みのある色彩は久保田さんの作品の大きな魅力の一つ。B4に収まる程の原画サイズでありながら、シャープなエッジの表現が出来るのはマスキングテープを多用しているからなのだそうです。

展示した作品の半分は毎日新聞日曜くらぶで連載中の石田衣良さんの「チッチと子」の挿絵のために描いたものです。売れない小説家の父親と10歳の息子を中心に、二人を取りまく人間模様が描かれた小説で、題字も久保田さんが作られたとのこと。連載はまだしばらく続くようですので、機会がありましたらぜひご覧ください。

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