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井筒啓之

女生徒 太宰治/著 (1939年)

あさ、眼をさますときの気持は、面白い。かくれんぼのとき、押入れの真っ暗い中に、じっと、しゃがんで隠れていて、突然、でこちゃんに、がらっと襖をあけられ、日の光がどっと来て、でこちゃんに、「見つけた!」と大声で言われて、まぶしさ、それから、へんな間の悪さ、それから、胸がどきどきして、着物のまえを合せたりして、ちょっと、てれくさく、押入れから出て来て、急にむかむか腹立たしく、あの感じ、いや、ちがう、あの感じでもない、なんだか、もっとやりきれない。

思春期の少女が持つ自意識の揺らぎと、厭世的な心理。14歳の女学生の朝起きてから就寝までの一日が独白体で描かれた。

(C) Hiroyuki Izutsu
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