長田恵子展「オマージュ」

2009年3月9日(月) - 3月14日(土)


装画コンペにも度々ご参加いただいていた長田さんは大の読書家!お仕事でも本の装画を手がけられていますが、今回の展示ではこれまでにご自身が読んだ本へのオマージュが並びました。


『たんぽぽのお酒』レイ・ブラッドベリ


読みかえすたびに、素直な気持ちで絵を描いてみたくなる大切な本。
親友から不意に別れを告げられた主人公が動揺する姿は、
転校の多かった私自身と重なり切なくなります。
知り尽くしていると思っていた親友なのに
いざとなると瞳の色さえ言いあてられず、愕然とするシーンは、
何度読んでも胸を締め付けられます。(長田)




展示したのは、ドストエフスキー、トーベ・ヤンソン、ガルシアマルケス、夏目漱石、宮沢賢治、モーパッサン、ケストナーなどなどバリエーションに富んだラインナップ。古今東西の16篇の物語が銅版画となりました。



  『彫刻家の娘』トーベ・ヤンソン


トーベ自身の少女時代が投影された物語。
親の愛情を横取りされたと感じて動物に嫉妬する幼さと、
老成した鋭い観察眼の共存した、
魅力的な女の子の感性に驚嘆しました。
でも、こんな子どもが身近にいたら、ちょっと怖いかもしれません。(長田)




昔読んだ本を時間が経ってから改めて読み返したときに「別世界の出来事と思っていたストーリーの中に、今の『自分』を発見したり、気にもとめなかった言葉に共感したりと、新鮮な驚きにたくさん出会う」と長田さんはおっしゃいます。



『バスカヴィル家の犬』コナン・ドイル


舞台である霧深いイギリスの荒れ地の、不気味で幻想的な雰囲気が、
シャーロック・ホームズの謎解き以上に、鮮明に印象に残りました。
それまで「ホームズ」ものは、
兄のお下がりだったり小学校の図書館で見かけただけでしたが、
この本で初めて大人の「ホームズ」に出逢いました。(長田)



たくさんの方にお出かけいただき大盛況だった一週間。お仕事にも繋がり、作品をお求め下さった方も多く、長田さんご自身も大きな手応えを感じられたようです。

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