AKIRA HIRAKAWA EXHIBITION

幻冬舎デザイン室の仕事

これまでに幻冬舎でデザインしてきた装幀の中から、とくに印象に残っているもの を集めてみました。
小説、エッセイから、漫画、写真集と、手掛けているジャンルが多岐に渡るため、その都度それぞれの内容をしっかりと汲み取り、最も分かりやすく丁寧な形で読者に届けれらるようなデザインを常に心掛けています。

この仕事で一番大切なのは、本を読んだ時に自分が受けた感動を誰かに伝えたいという気持ちを強く持つこと。「この感動を多くの人と共有したい、自分の思いを誰かに伝えなければならない。」そういった、本に対する純粋な愛情からすべてがスタートするのだと思います。

それと同時に、出版、とくに版元のデザイナーを職業にしている以上、「良いものが売れるとは限らないが売れるものは良いものだ」という認識を持つことも大切だと常々考えています。売れるものを作らなければ意味がない。手掛けるものは売らないと意味がない。本、そして本の顔である「装幀」は、作品でもありますが、商品でもあります。どんなターゲットに向けて、どんな形態にすればよいのか。そのためには徹底して市場調査を行い、一部の人に受け入れられるものよりも、より多くの人にとって分かりやすい商品を作って、一気に売る。それにあたってデザインのスタイルをその都度変えてゆく必要もありますし、徹底的に第三者の目を通し、あえて自分のデザインを疑うことも要します。
市場があり、その中で流通させる商品を作り、消費者に売るというプロセスが存在する以上は、仕事としての「装幀」は、コマーシャル・デザインとして捉えるべきだと考えています。

その中で、本に対する思いをどこまで貫けるのか。
そこが装幀の一番難しいところであり、楽しみでもあります。決してひとりよがりにならないデザインをすることを常に念頭に置きつつ、本が好きであるからこそ、デザイナーである前にひとりの出版人でありたいと思っています。





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