鈴木宏子展「ジゼルによせて -物語りとしてのバレエ-

'04.03.15(月)〜 03.20(土)


鈴木さんの初めての個展となった今回。バッハの旋律が微かに流れる中、ロマンティック・バレエの最高傑作といわれる「ジゼル」やバレエの様々な場面をテーマにした14点の作品が並びました。


「予感」

病弱だけれども踊りの好きな村娘ジゼルは、愛する村の若者ロイスが実はアルブレヒトという名の公爵で婚約者がいたことを知り、絶望のあまり息絶えます。

森の中。婚礼を前に死んだ娘は妖精ウイリーとなり、深夜になると墓を抜け出しては群れ集まって踊り、通りがかりの若者を捕らえては死ぬまで踊らせます。
ウイリーとなったジゼルは墓参りに来たアルブレヒトを誘惑し殺すように命じられますが、それを拒み、長い夜をアルブレヒトと共に踊り続けます。
やがて夜が明け、ウイリー達の姿は消えていきます。
愛する人を救ったジゼルもまた、アルブレヒトに一輪の花を残して消えていくのでした。

「ジゼル」は、1841年にパリオペラ座で初演以来、多くのファンを魅了してきました。
昔からバレエが好きだった鈴木さんはこれまでにもたくさんのバレエをテーマにした作品を描いていらっしゃいました。
鈴木さんにとって一番好きで特別な演目がこの「ジゼル」なのだそうです。

今回は、リアルにモチーフを捉えたモノクロームと幻想的な雰囲気を持つカラーと、両方の表現で制作。
カラーの作品はリキテックスジェッソを混ぜたもの、モノクロームは2Hから3Bくらいまでの鉛筆を使用して描かれています。

バレリーナたちのトウシューズや、手足など身体のパーツのみを描いた小品も好評で、作家にとって今後の方向性がはっきりと見えてきた展示となったようです。

BACK