宮崎裕子展「fleurs」

'04.02.09(月)〜 02.14(土)


女性向きの雑誌や会社のPR誌の表紙などを手掛けている宮崎さんの約2年振りの個展です。30数点の新作版画とそれを元に拡大+デザイン処理して出力したものを展示。見応えのある空間になりました。


「記憶」


2年前の展示では仏映画「アメリ」をテーマに、人物、動物、食べ物や植物など現実的なさまざまなモチーフが幅広く描かれました。今回はそれに比べるとより「私的」、そして「詩的」な印象の作品が並び、そこからはのびやかにイマジネーションの世界で遊ぶ作者の制作時の様子が伝わってきます。

バラやゼラニウム、レモンにセージ…甘く香りたつように花々や植物を描くのが以前から得意な宮崎さん。
今回はそれと共に、ヨーロッパの古い時代をイメ−ジさせるコスチュームに身を包んだ中性的な人びとがシンボリックに描かれていました。彼らはまるで植物の化身や、或いは夢の世界の住人のようにも見えます。

宮崎さんの作品は 銅版画 ですが、殆どの作品は一枚ずつしか作られていません。刷り上がったものにリキテックス 顔料 を用いて彩色しているために、まったく同じものを制作するのは難しいからなのだそうです。
最近は使用する色のバリエーションが拡がって、色彩での表現が以前に増して楽しくなってきたとおっしゃいます。
また今後はもう少し大きい作品や、版画以外の技法にもチャレンジして、装画のお仕事を増やしてゆきたい!と意欲的に語ってくださった宮崎さんの今後の展開が楽しみな展覧会でした。

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