嶋孝枝展 「MEDIA」

'03.11.24(月)〜 11.29(土)at MAYA2

階段を下りて扉を開けると、そこはまるで異空間。妖しく香りたつような魅力の嶋さんの作品が並んだMAYA2では、濃密な世界が展開されました。


ギリシャ神話には、文学、絵画の主題や、星座名、地名そして心理学などにも引用されたり、と現在の私たちの生活にも馴染みのあるものが多いようです。
「神」といっても非常に人間的なのがギリシャの神々。そこには嫉妬や憎しみ、裏切り…といったネガティブな感情もたくさん描かれているからこそ、いつの時代も人々はその人間らしさに興味が尽きないのでしょう。
中でもギリシャ三大悲劇詩人と云われる エウピリデスの代表的悲劇 「メディア」は人気のあるもので、これまでに数多くの小説や映画、絵画などさまざまなテーマとなってきました。

今回嶋さんは立体と平面作品の両方でこの「メディア」の世界を表現しました。
「残酷な魔女」や「夫に裏切られた不幸な女性」など描き手、語り手によってさまざまな解釈がされているメディアを嶋さんは「夫を愛し過ぎた、純真な心を持った女性」として捉えています。

6体並んだ人形は、顔は陶器で、衣装は最近は泥で染めたものも使用するなど、オリジナリティを考えて制作されているのだそうです。
また着物や帯などの古裂なども使用しているため、ギリシャ神話の世界でありながら、そこにはどこか日本的な雰囲気も漂い、不思議なイメージを醸し出しています。
赤や緑といった鮮やかな色彩が印象的なアクリル画と、ほぼモノトーンで象られた人形との対比が面白い展示となりました。



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