伊藤ちづる展「有機物のざわめき」

'03.10.13(月)〜 10.18(土)

名古屋を拠点に活動中の伊藤さん。東京での個展は2回目です。今回はお手製の栗と林檎のベイクドケーキでお客さまをもてなしたり、伊藤さんの大好きなゼラニウムのアロマオイルを焚いたりと、ギャラリーは甘く気持ちの良い香りに満ちた1週間でした。

旅行が好きで、これまでにいろいろな国を訪れたという伊藤さん。作品にもそれが反映されていて、南米風のカラフルで濃密な色彩の中にどこかヨ−ロッパ的なエレガンスが漂い、大陸的な力強さも兼ねた無国籍な魅力に溢れた世界がこれまでもずっと描かれてきました。

今回のキーワードは「有機物」。作者の心を動かして暖かくするものということで、人物、食べ物、動物、植物、昆虫.....とさまざまなものがモチーフになっています。
「モノにはあまり執着がないんです」とおっしゃる伊藤さん。「いずれは朽ちて土に還っていく」ものたちの、生命力に満ちた輝きや香りたつような色気が豊かに描かれました。

よく見ると、キラキラと品の良い光を放つパールのような美しいマチエールはリキテックスによるものです。
また最近の作品に描かれる人物の顔の表情が変わったと指摘も多かったよう。たっぷりの水を使って顔だちをボカすことで表情に柔らかなニュアンスが生まれたようです。

最近は鉄職人の方とのコラボレーションの機会も多いようで、この夏にはアートワークユニット「ラッセル・カンテ」としての展覧会が催されました。
マイペースでありながら軽やかなフットワークで伊藤さんの活動は今後もさまざまな展開を見せていきそうです。

http://www.h2.dion.ne.jp/~bella/



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