伊勢隆則展「目をこらす、耳をすます」

'03.09.29(月)〜 10.04(土)

今回は伊勢さんにとって初めての個展、13点の作品が静かで美しい空間をつくりました。
写真はお嬢さんの花名子ちゃんと一緒に。

2Hから2Bくらいまでの鉛筆を駆使して静物画にこだわって描き続けていらした伊勢さん。今回展示した作品の多くは、短歌雑誌「新アララギ」の表紙に使われたものでした。

アジの干物、流木、陶器、フランスパン、植物.....などモチーフはヴァリエーションに富んでいます。
これらのシンプルな構図で描かれたモノクロームの作品を前にしたときに、一瞬、その一つ一つの異なった質感、重み、匂いのようなものを感じるような気がするのは、伊勢さんご自身が「五感のすべてに働きかけるような表現」を常に意識していらっしゃるからなのでしょう。
そのためにも大抵制作のときには、 写真ではなく実物を目の前にして描いているのだそうです。

「これは何ですか?」と質問されることが多く、また好評だったのが「ホヤ貝」を描いた作品。この夏の暑い時季に制作したので、時間をかけることが出来ない上(3個のホヤ貝を時間差で使用したのだそうです)、その独特のニオイに苦戦して描かれたとのことでした。

これまでの静物のリアルな表現と並行して、今後はファンタジックなテイストの作品にも挑戦してみたいとのこと。
絵本制作の計画もあるのだそうで、これからの更なる展開がとても楽しみです。

伊勢さんの作品は玄光社「イラストレーション」誌140号でも紹介されてます。



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