ずっと「顔」にこだわって制作されてきた木村さん。
今回はいつものコラージュではなく、久しぶりのペインティング による人物像。それも作品を前にしたときに、その人物の内面が見えてくるような情感に溢れた「顔」を描く、というのがテーマでした。
並んだ22点の作品に描かれた人物の大半が女性。
骨格、表情筋、シワまでもが克明に描き込まれた彼女達の顔には情容赦なく流れる時間という無常感が漂い、また各々の表情からは「切なさ」や「哀しみ」といった痛みのある、メランコリックな感情が見隠れします。
限られたわずかな時間の中で新たな表現手段に挑戦した今回は、個展の蓋を開ける迄、作者自身もジックリと作品を振り返る余裕がなかったよう。
でもギャラリーに足を運んでくださった多くの方が、木村さんの新たな方向性をとても新鮮に、興味深く観てくださり、また本人も今後のビジョンが明確に見えてきたということで、まだまだこれから木村さんのペインティングは更なる発展を見せてゆきそうです。