いまい鞠展 「花とからす」

'03.03.31(月)〜 04.05(土)



小説雑誌でミステリーなどの挿し絵や、装画などのお仕事で活躍されているいまいさんの初めての個展は、MAYA2で開催。密室的な雰囲気が、作品とピッタリとマッチしていました。


「朧月夜」

もともとはペン画を描いていた いまいさんが、当時の新聞小説の挿し絵に魅了されて、独学で切り絵を始めたのは約10年前のこと。以来、その耽美的でありながら力強い魅力を持った世界は、多くの雑誌や本の装幀を飾ってきました。今回展示した作品20点のうち、半数近くはお仕事に使われたものです。

画材として使われているのはケント紙。作品の多くは、紙の表面をアクリル絵の具で着色し、裏面に反転して描いた下絵にそってカッターで形を切り取って作られます。
紙を数枚重ねるなど、場所によって高さを変えて画面に強弱をつけたり、背景や部分的な彩色にエアブラシを使用するなど、いまいさん 独特の表現方法によって不思議な空気感が生まれています。大抵は写真などの資料をもとに制作するとのことですが、時には自分で撮影したものを使うこともあるのだそうです。

人物、風景、静物などモチーフも様々。
切り絵という技法から作品にはどこか「和」のテイストも漂いますが、実際に作られているのはシェークスピアやディケンズなどの西洋文学や、東野圭吾氏の小説の挿し絵など現代的なものが多く、そのミスマッチ感もユニークでした。またファンタジックな世界の表現には独特な妖しい魅力があり、まさにいまいさんの真骨頂が発揮された感がありました。

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