松本里美 銅版画展

「柳ホテル」

'02.11.11(月)〜 11.16(土)




銅版画家、イラストレーターにして、知る人ぞ知る『サボテン』というロックバンドのボーカリスト兼ギタリスト…と幾つもの顔をもち、「私の紹介文には、なぜか『異色の○○』という形容詞がつくことが多いんですよね〜!」という松本さん。32点の銅版画が並びました。



『窓辺の“J”』

「柳ホテル」は郊外にある三ツ星クラスの“架空の”ホテル。
ロビーでは女優、作家、流浪のバンド…など様々な滞在者と、ベルボーイやハウスキーパーなどホテルで働く人々が行き交い、部屋の中に一歩入るとそれぞれの物語、時間が静かに流れます。

古いホテルを舞台に繰りひろげられる人間模様<グランドホテルスタイル>を描くというのは、松本さんが以前から暖めてきたテーマでした。登場人物や設定などを考えて制作するのは、とても楽しい時間だったようです。



これまでは暖色系のインクを使用して制作することが多かったという松本さん。でも今回の個展では、プルシャンブルーという深く美しい青のインクとの出会いによって、イメージはどんどん拡がり、たくさんの作品が生まれた、とおっしゃいます。運河にうかぶ船で暮すドアマン「J」の朝食風景を描いた上の作品にもその色は使われています。

以前から松本さんが作詞した歌や、CDジャケットのために描いた絵の中などにしばしば登場していたというの木。彼女が好きなのは、川沿いなどで時々見かける大木となって生命力を感じさせる姿のものなのだそうです。
作家のお姉さんが所有していたTHE WILLOW PATTERNというカップ&ソーサー。その柳のある東洋的な風景を描いた意匠が、『柳ホテル』のイメージの扉を開く鍵となりました。

松本さんのホームページでは、毎日更新される日記と共に今回の展示風景もご覧になれます。



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