林陽子展

「ケルトの森」

'02.09.09(月)〜 09.14(土)



まだまだ暑い日が続いていましたが、この週の後半からはストンと秋が降りてきたかのような涼しく過ごしやすい気候になりました。MAYAではそんな季節にぴったりな林さんの作品が23点並びました。




「城」

林さんの初めての個展のテーマとなったのはケルトの森

ヨーロッパ文化の古層をなし、幻想的な世界を好むケルトの文化は、歴史の流れの中で次第に周縁へと追いやられていきました。
その末裔たちは現在、アイルランド、スコットランド、ウェールズ、フランスのブルターニュのあたりに住んでいるといいます。

長い時間を経て、語り部たち、詩人たちによって伝承されてきた妖精伝説や民話、神話に魅了された林さんが、以前に訪れたブルターニュからイメージをふくらませて神秘の森を表現しました。



厳かに挿す月光の下、夜つゆ滴る草木の陰......ケルトの人々にとって神々は自然の中に存在し、神々、妖精、人間は共に生きていたといいます。 細部にまでこだわって描かれた林さんの作品にも、森の中で動物や昆虫たちと共存する、さまざまな姿かたちをした妖精たちが登場しました。

展示したのはすべてエッチング作品。一版で多色刷りしたものや、ドライポイントアクアチントなどの技法も駆使され、繊細な線と美しい色彩の濃淡が上質なファンタジーの世界を創っていました。



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