与話情浮名横櫛/名セリフ

しがねぇ恋の情けが仇 命の綱の切れたのを
どう取り留めてか 木更津から めぐる月日も三年越し
江戸の親にやぁ勘当うけ よんどころなく鎌倉の 谷七郷は喰い詰めても
面に受けたる看板の 疵がもっけの幸いに 切られ与三と異名をとり 
押借り強請やぁ習おうより 慣れた時代の源氏店 そのしらばけか黒塀の
格子造りの囲いもの 死んだと思ったお富とは お釈迦さまでも気がつくめぇ
よくまぁ おぬしぁ達者でいたなぁ
安やい これじゃぁ一分じゃぁ 帰られめぇじゃねぇか (源氏店)

九幕三十場の長編だが、現在は「木更津海岸見染」「赤間別荘」「源氏店」の三幕が主に上演されている。


安里英晴 /Hideharu Ari

1954年生まれ。東京造形大学中退。
三十歳頃から描き始め、'90年代になって時代物を多く手掛ける。
主な作品は、宇江佐真理「あやめ横町の人々」(東京新聞)、 諸田玲子「恋ほおずき」(婦人公論)など。
平成14年度講談社出版文化賞さしえ賞。