効果的に残された画面の余白が静かな余韻となって心に残る北岡さんの作品。
描かれる題材のほとんどは静物ですが、その一風変わったモチーフ選びが印象的です。例えば、水栽培で勢いよく芽の伸びた「豆苗」、グラスの中で飼育される「まりも」、色が綺麗で年輪のような断面の「鮭の切り身」、見つめているとまるで森のようだと云う「しめじ」など。嫌いなはずの昆虫や爬虫類も、その不思議な形態や色彩が北岡さんの創作意欲を強く刺激して、美しい作品となりました。
そうして作者の視線を通して描かれたモノたちを前にすると、日常生活の中で当たり前のように、また何気なく存在する様々なものが私たちの目にも新鮮な姿で映ります。
ふわりとした柔らかな色彩はソフトパステルで、線はボールペンを使用して描かれています。それぞれの絵につけられた作者の独り言のような短い文章も好評でした。
今回の展示を客観的に見つめ、またいろいろな人との会話を通して、これから描いてみたい表現が明確にみえてきたとおっしゃる北岡さん。
今後は装画やカレンダーなどにも是非挑戦したい、とのことでした。
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